第24章 Confession
車椅子ごとバスから降ろされた俺を迎えてくれたのは、屈強な刑務官と、若い女性の看護師だった。
それもその筈だ、ここは刑務所とはいえ、名目上は”病院”と何ら変わりがないのだから、女性の看護師がいたところで何ら不思議はない。
違うところと言えば、このそびえ立つ高い壁と、入院患者の全てが”犯罪者”だ、ってことだろうな。
バスに同乗していた刑務官と井ノ原が、俺達を迎えた刑務官と敬礼で挨拶を交わす。
そして無言のまま俺を乗せた車椅子は建物の中に吸い込まれて行った。
ここには以前いた刑務所とは違う、病院特有の匂いが立ち込めている。
「入れ」
前を歩く刑務官の足が止まり、無機質な鉄の扉が開けられた。
プレートには「検査室」の三文字。
瞬間、俺の中に得も言えぬ恐怖が込み上げてくる。
不安を感じた俺は、思わず井ノ原を見上げた。
井ノ原は俺の気持を察してか、元々垂れがちな目じりを更に下げて、悲しげな表情で静かに首を横に振った。
これだけは避けて通ることは出来ない、ってことか…
そうだ…
こんなことは別に今日が初めてじゃない。
慣れるなんてことは、一生かかったってないのかもしれない。
でも、慣れなきゃいけないんだよな?
ただ悔しのは、翔が俺に残してくれた”痕跡”が、他人の手によって侵されること、それだけだった。