第24章 Confession
バスがゆっくりと走り出し、病院の敷地を抜けると、俺はそっと瞼を伏せた。
手錠が嵌められ、自由の利かない両手で自分の身体を抱き締めると、翔が残していった温もりが蘇ってくるような、そんな気がした。
身体は離れてしまったけど、心は…心だけはどれだけ離れたって一つだから…
いつだってお前と共にあるから…
「身体、キツイいのか?」
ずっと目を伏せたままでいる俺を心配したのか、井ノ原の手が伸びてきて、俺の額に触れた。
「熱は…ないようだな」
俺は無言で頷くと、伏せていた瞼を開き、スモークの貼られた車掌に目を向けた。
バスはいつしか見知らぬ土地へと入っていた。
ひっそりとした、人気の少ない田舎町、といったところだろうか…
そこには自然が溢れていた。
ボロボロになった心と身体を癒すには、うってつけの場所なのかもしれないな…
そんなことを想っているうちに、俺達を乗せたバスは巨大な要塞のような建物に吸い込まれて行った。
高い壁に覆われたそこは、俺がそれまでいた刑務所と、なんら変わりがないように見えた。
”医療”と付くだけで、”刑務所”には変わりないのだから、当たり前か…
バスの後部ドアが開き、同時に井ノ原がその腰を上げた。