第24章 Confession
胸元で組んだ翔の手に自分の指を絡める。
そこから伝わってくる翔の体温に、冷えた指先と俺の中で燻っていた物が、ゆっくりと溶かされて行くような気がした。
「分かった…。でも今直ぐにじゃない。少しだけ俺に時間をくれないか?」
「どれくらい? 悪いけど、そんなに長くは待てないよ?」
身体が反転させられ、翔の真剣な眼差しが俺を見下ろす。
分かってるさ…、時間がないことぐらい、俺だっていつまでもこんなトコにいたいとは思っていない。
でもな、翔…
俺が全てを語れば、必ずお前が傷つくことになるんだよ…
それが俺は怖くて堪んないんだよ…
「俺にちゃんと覚悟が出来たら話すから、それまで…」
俺に傷ついた翔を受け止められるだけの、自信がついたら…
悪いけど今の俺には、ないから…
「分かった。じゃあ今度会う時は、多分法廷だね? その時俺は、弁護士の櫻井翔ではなく、君の恋人“櫻井翔”として、法廷に立つから…」
「翔…」
俺は翔の首に腕を巻き付け、少しだけ高い位置にある、ふっくらとした唇に、自分のそれを押し当てた。
角度を変えながら何度も何度も…
この唇が、翔の体温と形を忘れないようにと願いながら…何度も何度も…