第24章 Confession
病室の扉がノックされ、ゆっくり開く。
「時間です…」
僅かに出来た隙間から、長野が申し訳なさそうに顔を出した。
「ああ…、分かってるよ」
俺はそれまで着ていた寝巻きを脱ぎ、長野が用意してくれた番号付きの服に着替えた。
またコレを着るなんてな…
自然と込み上げてくる笑いを何とか堪え、未だベッドの上から動こうとしない翔を振り返った。
「いつまでンな恰好してんだよ? コレじゃ俺がお前のこと襲ったみたいに思われんだろ?」
揶揄い口調で言ってやると、翔の顔がみるみる赤く染まっていく。
「ほら、さっさと着替えろよ…」
ベッドの脇に脱ぎ散らかした服を、翔に向かって投げつけた。
「あ、ああ…、ありがと…う…」
翔が着替えを始めるのを、俺はベッドの端に座ったまま、ずっと見ていた。
逞しい腕も…
厚い胸板も…
シャツのボタンをかけていく、不器用な指先も…
そのどれもが愛しくて…
そのどれもを、この目に焼き付けておきたくて…
「な、なに? そんなに見られたら、恥ずかしいんだけど…」
照れたように顔にかかった前髪をかき揚げるその仕草も…
「忘れないから…。俺は絶対忘れたりしない…」
二人で過ごした夜のことを…
俺は忘れない…