• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第24章 Confession


「顔、ちゃんと見せて?」

背けた筈の顔を、翔の手が振り向かせた。

「智君…」

俺の視線の先にあった翔の顔は、さっきまでのお道化た顔ではなく、真剣そのものの顔で、俺はその目を見た瞬間、胸が苦しくなるのを感じた。

翔もきっと俺と同じ気持ちでいるんだ、と…

「ばか、なんでお前が泣いてんだよ? お前が泣いたら俺…」

俺は鼻を啜ると、翔の頬を濡らす涙を手のひらで乱暴に拭った。

「痛いよ…」

「うるせぇ、泣いた罰だ」

そう言って、まだ文句を言いたげな翔の唇を、自分のそれで塞いだ。

決して深くはない、触れるだけのキス。

「離したくない…」

唇が離れた瞬間、翔の両腕が俺を苦しいぐらいの力で抱きしめた。

俺だって…

そう言って泣けたらどんなに楽なんだろう…

でもそんなことをしたら、今度こそ離れられなくなる。

もうその時はすぐそこまで迫ってきているのに…

「翔、もう時間だ」

ずっとこうしていたい…
翔の体温を全身で感じていたい…

今にも叫び出しそうな心に蓋をして、俺は翔の胸を両手で押し返した。

そして気怠さの残る身体を無理矢理起こし、俺達を包んでいた布団を捲った。

途端に冷えた空気が俺の身体と心を包み込んだ。
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp