第3章 Nightmare
逃げようとする腰に腕を回され、グイッと引き寄せられると、頭を布団に押さえ込まれた。
「お前は大人しくケツ振ってりゃいいんだよ、この便所が!」
番号の次は“便所”か…
ここを出る頃には、一体どれだけの人が俺の本当の名前を覚えているんだろうか…
高く突き出した双丘を割って男の欲の塊が蕾に宛がわれる。
全身に緊張が走った。
が…
先走りに濡れた先端をグリグリと押し付けるだけで、一向に挿入って来る気配がない。
妙に焦らしやがる…
早く終らせて欲しいのに…
そう思った時、男の生臭い息と骨張った手が俺の尻を撫でた。
「言ってみろよ? 欲しいんだろ、コイツが…」
「…言わない…言うもんか…」
「ほぅ…素直に言うこと聞いときゃいいもんを…。残念だな…」
何が言いたい…
視界を閉ざされたままの顔を男に向ける。
「刑期、15年だったな? お前次第で短くも出来るんだぜ?」
瞬間、俺の脳裏に翔の泣き顔が浮かんだ。
翔に会いたい…
翔の腕に抱かれたい…
翔…
翔…!
「…下さ…い…。お願いします、俺に下さい…」
布団をギュッと握り締め、掠れた声を絞り出す。
「ククッ…やっぱりお前は最高だ…。ほら、お望み通りくれてやるぜ…」
俺の腰を掴む男の手に、グッと力が入った。