第3章 Nightmare
もう何度イカされたのかも分からなくなる程、俺の身体は汗と自身の吐き出したモノと、男の欲の塊に塗れていた。
遠のく意識を強引に引き戻され、身体を揺さぶられる。
「気持ちいいか…ん?」
気持ちいいわけないだろうが…
それでも俺は、男に応えるように腰を振り、感じてるフリを繰り返す。
「気持ちいい…です…」
視界を閉ざされていても手に取るように分かる、男が歓喜に狂う姿。
そうだ…
閉ざさしてしまえばいいんだ…
目も耳も塞いで、心も閉ざしてしまえばいい。
何も感じ無ければ…
痛みも苦しみも…
無理矢理与えられる快感も…
全部閉してしまえば…
いいさ、それで少しでも早く翔の元へ帰れるのなら…
自分を殺すことぐらい容易いことだ…
「あっ、あん…はぁ…ん、もっと…もっと下さい…大っきいの、下さい…」
男の腹に跨り、歓喜の声を上げてみせる。
「あぁ、いくらでもやるぜ…」
「はっ…あ、嬉し…」
俺の中に広がる熱が俺の心まで侵食して行く。
翌朝、俺は独房から、雑居房へと移された。
あぁ、これで悪夢のような夜は来ない…
そう思うと、笑いすら込み上げてくる。
でも、それは悪夢の始まりでしかなかったんだ…
「Nightmare」 完