第23章 Deep Love
慣れない手つきでなんとか介添えをしながらトイレを済ませ、智君をベッドに戻す。
「痩せたね?」
元々細かったのに、久しぶりに抱き上げた智君の身体の軽さに、俺は少なからずショックを覚えた。
「仕方ねぇよ。それより、さ…」
まだ俺の首に回ったままの腕が、俺を引き寄せる。
息が触れ合う程近い距離で智君に見上げられ、俺の心臓がドクンと脈打つ。
「キス…してよ」
「いいけど、キスしたら俺、止まれないかもしれないけど…それでもいい…?」
その言葉に、智君の見開かれた瞳の奥が揺れる。
そして逸らされた視線と、ゆっくり解かれた細い腕…
「どう…したの…?」
突然出来てしまった距離を詰めようと、俺は智君の頬を両手で挟み込んだ。
それでも智君は俺と視線を合わせようとしない。
「言って? もしかして、俺のこと嫌いになった、とか?」
「違っ…、そうじゃない…」
「だったらどうして?」
智君の両目に、みるみる涙が浮かんでくる。
やがてそれは頬を伝い、俺の手を濡らした。
「俺、お前に抱かれる資格…ないから…」
「何、を言ってるの…? 俺にちゃんと分かるように言って?」
伏せた睫毛が涙に濡れ、小さく震える。
「俺…、お前意外の奴に…抱かれた…」
瞬間、目の前が真っ暗になり、全ての時が止まった、ような気がした。