第22章 ray of hope
「用がなければ戻るが…。患者は君だけじゃないんでね?」
「歩けるようになったら、元いた場所に帰されるのか?」
「帰りたいのか?」
「そうじゃ…ない…」
別にアソコに帰りたい訳じゃない。
帰ればまた坂本にいいようにされるのは、目に見えてるし…
それにアソコにはもうアイツは…雅紀はいないから…
出来ることなら、二度と戻りたくはない。
でも、どこかでアイツら…松本と二宮のことが気にかかっていて…
「そうだな…」
言い淀む俺を見下ろし、東山がその端正な顔を少しだけ顰めた。
「君の場合は、普通の刑務所に戻ることは、まず不可能だと思った方が良いかもしれないな?」
「どう…して?」
「仮に君の足が動くようになったとしても、以前のように、とは行かないだろうからね? おそらくは医療刑務所に送致されることになるとおもうが…」
医療刑務所…?
聞いたことがない。
「なん…だそれ?」
「簡単に言えば、加療を要する…”刑務作業”が出来なくなった受刑者達のための刑務所、ってとこだろうな?」
詳しくは知らないが、と付け足して東山は白衣の襟元を直した。
そしてクリップボードを手に、真剣な顔で何やら書き込むと、それを脇に挟み、俺の顔を覗き込んだ。