第22章 ray of hope
「このままここで眠ってしまおうか?」
翔が到底叶いそうもないことを口にする。
「そしたらさ、智君とずっとこうしていられる」
叶うことなら俺だってそうしたい。
でも、そう簡単に叶えられることでもないのは、俺も…そして翔も痛い程分かっている。
「俺…困らせてるよね? ゴメン…」
違う、そうじゃないんだ…。
「医師(せんせい)、呼ぼうね?」
翔の手がコールボタンに伸びる。
「待て…」
俺は思わず翔の手を掴んでいた。
驚いた様子で俺を見た翔の胸に、俺は顔を埋めた。
「どうしたの?」
頭上から降って来る声に、俺はただただ首を振って応える。
「消灯まであと五分か…。五分だけ…こうしていようか…」
たった五分…
五分経ったら、この温もりは離れていってしまう。
離したくない…
「しょ…キス…してくれないか?」
一度は拒んだキスを、今度は自分から強請る。
「顔、上げて?」
翔の手が、胸に埋めた俺の頬を包んだ。
そしてゆっくりと上向かされたその先で、揺れる翔の瞳と俺の視線がぶつかり、まるで何かに引き寄せられるかのように、重なった唇…。
身体の奥…芯から痺れるような、そんな甘いキス…
一時だって離れたくなくて、離れていこうとする唇に、俺は必死で追い縋った。