• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第22章 ray of hope


「このままここで眠ってしまおうか?」

翔が到底叶いそうもないことを口にする。

「そしたらさ、智君とずっとこうしていられる」

叶うことなら俺だってそうしたい。
でも、そう簡単に叶えられることでもないのは、俺も…そして翔も痛い程分かっている。

「俺…困らせてるよね? ゴメン…」

違う、そうじゃないんだ…。

「医師(せんせい)、呼ぼうね?」

翔の手がコールボタンに伸びる。

「待て…」

俺は思わず翔の手を掴んでいた。

驚いた様子で俺を見た翔の胸に、俺は顔を埋めた。

「どうしたの?」

頭上から降って来る声に、俺はただただ首を振って応える。

「消灯まであと五分か…。五分だけ…こうしていようか…」

たった五分…
五分経ったら、この温もりは離れていってしまう。

離したくない…

「しょ…キス…してくれないか?」

一度は拒んだキスを、今度は自分から強請る。

「顔、上げて?」

翔の手が、胸に埋めた俺の頬を包んだ。

そしてゆっくりと上向かされたその先で、揺れる翔の瞳と俺の視線がぶつかり、まるで何かに引き寄せられるかのように、重なった唇…。

身体の奥…芯から痺れるような、そんな甘いキス…

一時だって離れたくなくて、離れていこうとする唇に、俺は必死で追い縋った。
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp