第22章 ray of hope
「夢を…見たんだ…」
どこまでも終わりの見えない夢を…
「随分長い夢だったんだね?」
暗い暗い…
どれだけ目を凝らしても、闇しか見えない夢を…
「怖かった…」
夢の中で、俺は背中を見丸めて蹲っていたんだ。
「そっか…」
でもある時、一筋の光が見えたんだ…
「…会いたかった…、お前、に…」
翔が照らしてくれた、一筋の光…
俺はその光だけを頼りに、闇の中をひたすら彷徨っていた。
「俺も、会いたかったよ?」
肩を抱いた腕に、ほんの少しだけ込められる力…
「キス…していい?」
俺は小さく頷くけど…
「ごめ…やっぱ…」
少しだけ近くなった翔の肩を、力の入らない手です押し返す。
「どうして?」
理由なんてない。
もしあるとすれば、そのキスを受け入れた瞬間に、夢から醒めてしまいそうだから…
「…怖いんだ…」
漸く手に入れた温もりを、また手放してしまうのが…
怖い…。
「俺も怖いよ? でもね、怖いからって、逃げるのはもう辞めにしたんだ。逃げてばかりいたって、何も始まらないからさ…」
翔…
強くなったな…
「寒くない?」
俺はやっぱり無言で頷くことしか出来なくて…
「雪、積もるといいね?」
そう言って窓の外に向けた翔の視線の先を追った。