第3章 Nightmare
朝なんて来なければいいのに…
どんなに強く願っても、明けない空はない…
起床の合図と共にパッと瞼が開く。
重い身体を引き摺りながら、なんとか布団を畳み、着替えを済ませる。
身体に残された行為の痕跡が、あれは夢じゃなかったことを告げる。
夢ならどんなに良かったことか…
トイレットペーパーを無造作に千切り、水で濡らす。
それで俺の身体に残ったあの男の残して行った残骸を拭き取ると、腹の底から湧き上がってくるモノ…
「うっ…ぐっ…うぇ…」
耐えきれず便器に顔を突っ込むと、胃の中の物を全て吐き出した。
どれだけ吐いても込み上げてくるのを抑えきれず、胃の中が空っぽになっても吐き続けた。
洗面所で口を濯ぎ、点呼までの間に身支度を整えた。
鉄の扉を正面に、正座の姿勢で番号が呼ばれるのを待つ。
カツーン、カツーン…
足音が近づいてくる足音に、震え出す身体を押さえ込む。
「7005番」
俺の番号が呼ばれた。
「…はい」
引き攣れそうな喉の奥から絞り出した声は、自分のものとは思えないほど、酷く掠れている。
「問題はないか?」
刑務官が手元のファイルと房を交互に見る。
「問題は…ありません」
答える俺に、刑務官の窺うような視線が刺さる。