第3章 Nightmare
再び布団に押し倒されると、足元でカチャカチャと身支度を整える音が聞こえた。
俺の足に下着と寝巻の下が通された。
濡れた感触が気持ち悪い…
「また遊んでやるからな? 楽しみにしとけよ?」
頭を覆った袋の口を解きながら、嬉々とした男の声が囁く。
乱暴に袋を引き抜かれ、口に噛まされた猿轡を解かれる。
「グッ…ゲホッ…!」
途端に込み上げてくるものに咳き込みながら、霞む視界に目を凝らす。
逆光の中にキラリと光る…指輪…?
「誰にも言うんじゃねぇぞ? これは俺とお前の秘密だ…」
男がスッと立ち上がり、光の中に消えて行く。
鈍い音を響かせながら鉄の扉が閉じられ、ガチャンと鍵をかけられる。
カツーン、カツーン…
規則的な足音が遠ざかる。
俺は力の入らない身体に言い聞かせ、何とか布団を手繰り寄せると、何事もなかったかのように布団に潜り込んだ。
ふと鉄の柵で覆われた窓に視線を向ける。
月も…星さえも見えない漆黒の闇。
翔?
どうしてあの時俺を助けたりしたの?
どうして俺を死なせてくれなかったの?
あの時…何も知らない子供のまま死んでたら、こんな辛い思いしなくても済んだのに…
ねぇ、翔…
俺を殺してよ…
汚れた俺を…殺して…
止めどなく溢れる涙もそのままに、俺は瞼を静かに閉じ、深い眠りに落ちて行った。