• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第19章 Showing


「分かりませんか?」

尚も詰め寄る深山さんに、未だ答えの見つからない俺は、黙って頷いてみせた。


「そうだな、お前には分からんかもしれんな…」

岡田まで…

「俺の一体何が…」

「あのな、別にお前を責めてるわけじゃないんだよ?」

だったら何が…?

「お前はさ、両親がちゃんと揃った、所謂“幸せな家庭”で育った。しかも、普通よりも裕福な、な?」

「それがどうして?」

確かに両親は揃っていた。
形ばかり、ではあったが…
でも、傍から見れば、幸せそうに見えたかもしれない。
少なくとも…裕福ではあったことに違いない。

「施設で育った子供達はさ、理由は様々だが、皆親を失くし、住む場所も失くした子供達ばかりだ。そんな子供達にとって、施設は唯一、自分達が生きて行ける場所なんだよ」

「あっ…」

俺は言葉を無くした。

自分が当たり前のように手にしていた物は、彼らにとっては得ようと思ったって、得られない物ばかり。

それなのに、生きるための場所を奪われたとしたら…?

「逆らうことなんて、出来ないですよね?」

例えそれが人の道に外れたことだと分かっていたとしても、だ…

「なんてことだ…」

俺は思わず頭を抱え込んだ。

「でも、問題はそこじゃありませんよ?」
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp