第19章 Showing
長野刑務官からの電話があった翌日、非番だった俺は、多忙とは知りつつも、岡田を茂さんの店に呼び出した。
ダメもとで連絡を入れた深山さんも、たまたま非番だったため、同席して貰うことにした。
俺は二人に、長野刑務官から聞かされたままを、話して聞かせた。
二人は黙って俺の話に耳を傾けていたが、全てを話し終えると、一様に険しい表情を浮かべた。
「勿体ないことをしましたね」
茂さん特製のコーヒーを一口啜った深山さんが、カップを皿に置くと同時に言った。
「あぁ、確かにな…」
岡田も深山さんの言葉に同調するように、その眉を顰めた。
俺は、智君のことを思うばかりに、二人の言葉の意味を理解していなかった。
「二人とも何を言ってるんだ。あんな奴死んで当然だ」
俺は苛立ち気味にテーブルを拳で叩いた。
智君を傷付けたんだ…
罪を償うのは当然じゃないか…
「冷静になれ、櫻井」
「俺は冷静だ。おかしなことを言っているのは、お前等の方じゃないか」
「僕には、今の櫻井さんはとても”冷静”とは思えませんね。ちゃんと周りが見えてますか?」
深山さんが公判資料がギッシリ詰まった入ったファイルを捲りながら、淡々とした口調で言う。
そしてあるページでピタリとその手を止めると、そのページを開いたファイルを俺に向けて寄越した。