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Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第18章 Fallen Ⅱ


程なくして、白衣を纏った医師が、数人の看護師を引き連れて病室にやって来た。

訳も分からず戸惑うばかりの俺を、医師と看護師が身包み剥がして行くのを、俺はぼんやりと眺めていた。

自分がどうしてここにいるのか分からなかったから…

外気に晒された胸に、冷たい鉄のような物が当てられる。

チューブが繋がっていて、それは医師の耳へと続いていた。

あぁ、聴診器…

暫くの間俺の鼓動に耳を傾けていた医師が、聴診器を耳から外すと、年季の入った顔を穏やかに綻ばせた。

「術後の経過も良いようですし、特に問題はないでしょう。今後の処遇については、体力の回復を待って、ということになりますね」

それだけを言い残すと、一人の看護師だけを残し、医師はまた看護師たちを引き連れ、病室を出ていった。

一人残された看護師は、二人の刑務官の監視の下、程よく温められたタオルで俺の身体を清めて行く。

最後に簡易的な寝巻で俺を包み込むと、クリップボードを片手に、

「何かあればそちらのブザーでお呼びくださいね」

と、極めて事務的な口調で言い、病室から足早に立ち去って行った。

俺はそれを見て、一人の刑務官の袖を引っ張った。

(俺はどうしてここに?)

伝えたい言葉が、音になることなく、空気と一緒に口から零れ出た。
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