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Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第16章 Limit


「潤と何話してたんですか?」

背後から声をかけられ、俺は咄嗟に後ろを振り返った。

「二…宮…か…」

「なんですか、人を化け物みたいに…」

薄い唇を尖らせた二宮が、両手をポケットに突っ込んだまま、さっきまで松本が座っていた場所に腰を下ろした。

「あんた達さぁ、二人で何コソコソしてんの?」

まるで少女のような、色白の顔が俺を覗き込む。

「別に…何もしてねぇよ…」

仮にあったとしたって、お前には話せねぇよ…


俺は二宮の視線から逃れるように、顔をグラウンドへと向けた。

「それよかさ、お前マサキが何やらかしてここに来る羽目になったのか、知ってるか?」

「どうしてそれを私に? 本人に直接聞けば良いでしょ?」

二宮が細い肩を竦め、ニヤリと笑う。

知ってる。
コイツは、あの松本ですら知らなかったマサキの過去を知っている。

何の根拠もない…ただの直感だ。

でももしコイツが、俺の想像通りマサキの過去を知っていたとして、素直に口を割るとは、到底思えない。

どうする…
どうしたらコイツから聞き出せる?

俺は知らず知らずの内に爪を噛んでいた。

「あんたもかよ…」

えっ?

「爪だよ…。潤が良く噛んでるでしょ? あんたも癖なの?」

言われて俺は自分の親指の爪に視線を向けた。

綺麗に整えてあった筈の爪は、余程強く噛んだのか、ギザギザになっていた。
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