第15章 Urge
「愛し合ってたって? …笑わせんな。お前が勝手にそう思い込んでただけじゃねぇの? 大体俺は男なんて好きじゃねぇし…。お前にはガキの頃助けて貰った恩があるから、付き合ってやってただけだ。勘違いしてんじゃねぇよ、弁護士さん?」
“弁護士”、か…
今ほど自分の選んだ道を後悔したことは無いかもしれない。
でも今の俺は…
「智君? 君も勘違いしてるよね? 今日俺は、君の“弁護士”としてじゃなく、君の“恋人”としてここに来てるんだ。誤解して欲しくないな」
堅苦しい肩書きなんて、クソ喰らえだ…
「ばっかじゃねぇの、お前…」
そうだよ、馬鹿だよ…
俺は君のためなら、どれだけだって馬鹿になれるんだよ?
「とにかく、もう俺のことは忘れてくれ。で、ここにももう来んな…」
智君が席を立ち、俺に背を向ける。
その背中が、少しだけ震えているように見えるのは、俺の気のせいだろうか…
「じゃあな、翔…」
俺の名を呼んだその声は、俺の知ってる智君の声、そのものだった。
それが君の答えなんだね?
「分かった。もう来ない。でも、諦めないから…。君をこの腕に抱き締めるまで、俺は諦めたりしないから」
俺の想いは、決して変わることはないから…
君の想いはまだ俺にあるから…
そうだよね、智君…?