第15章 Urge
暫く考えた後、智君がそれまで俯かせていた顔を上げた。
「お前には関係のないことだ」
思った通りの答え。
それが予測出来ない俺じゃない。
「そっか、そうだよね? 君がどこで何をしていようと、俺には関係のないことかもしれないね? でも…」
そこまで言って、俺は息をスッと吸い込んだ。
「でもね? 君は俺を裏切ったんだよ? 分かってる?」
「あぁ…。お前には悪いことしたって思ってるよ…」
「嘘だね…。君は俺のこと何にも分かっちゃいない。俺がどれだけ君のことを…愛してるか、君は全然分かってない」
堪えていた想いがどんどん溢れ出す。
もう止められない…
「ねぇ、智君? 君にとって俺は何だったの? ただの幼馴染? それとも友達? …違うよね? 俺達は愛し合ってたよね? なのにどうして…?」
アクリル板の向こうで、智君の顔が険しく歪む。
君を困らせるつもりはない。
でも、聞きたいんだ…
君の心の声を…
「クク…クククッ…。ほんと、お前っておめでたい奴だよな?」
智君が身を乗り出す。
手を伸ばせばすぐ触れられる距離に、苦悩の上に笑顔の仮面を被った智君の顔がある。
そんな顔して笑わないで…
今にも泣き出しそうな顔してるくせに…
…笑うなよ…