• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第15章 Urge


翌日、俺は体調不良を理由に休みを取った。

所長はこの忙しい時期に…と愚痴ったが、俺はそれを綺麗に右から左へと流した。

一日休めば、その皺寄せは半端ないことは、俺自身理解らない訳でもなかった。

今すべきことを後回しにはしたくなかった。

今自分の気持ちに従わなければ、前を向いて歩けなくなる…俺はそう思った。

岡田には本当のことを伝えた。

智君に会いに行くと…

岡田は何も言わず、ただ「分かった」と言ってくれた。

申し訳ないという気持ちがない訳じゃなかった。
岡田の俺への想いを知っているから…

でもだからこそ、岡田には嘘は付きたくなかった。

どちらにせよ、岡田にはすぐにバレるんだろうが…



自宅から車を走らせること一時間。

反り起つ高い壁と、重厚な鉄の扉が俺を出迎えてくれた。

面会受付所に行くと、”面会申出書”に記入を求められた。

仕事柄初めての経験ではない。

「弁護士さん…なんですか?」

一通り申出書に目を通した警備員が訝しむように俺を見た。

「えぇ、一応…。でも今日は接見とかじゃなくて、プライベートで…」

そのためにスーツは着てこなかった。
当然弁護士バッジだって机の引き出しに締まってきた。

「分かりました。では、一応身分証明書だけお預かりしても宜しいですかね?」

俺は財布から運転免許証を取り出すと、それを手渡した。
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp