第14章 Dilemma
背後でベルトを外す音が聞こえ、続けてチャックを下す音。
坂本の腕が俺の両足を持ち上げ、俺の身体が宙に浮く。
鉄格子に括り付けられた両手だけが、俺の身体を支えた。
「コイツが欲しかったんだろ?」
両足を抱え込まれ、開いた足の間に坂本の熱く猛った昂ぶりが宛がわれる。
もう抵抗なんて出来なかった…
いや…
抵抗するつもりなんて、俺にはなかった。
ただただこの身体の中で蠢く疼きを抑えてくれるなら、もうどうだって良かった。
「早く…早くくれよ…。ソイツを俺に…」
羞恥心なんてとっくに消え失せていた。
「…っ、お前何言ってんだ! しっかりしろよ、智!」
「うるさいなぁ…。お前は黙ってそこで見学してりゃいいんだよ。…それとも何か? お前もコイツとヤリてぇか? ま、もっともそこから出られれば、の話だがな…」
坂本が厭らしく鼻を鳴らす。
「てめぇ…ぶっ殺す!」
ダメだ、松本…
俺のために…ダメだ…
「あぁ、そう言えば…」
俺の後ろに宛がった塊で蕾の周りを焦らす様に撫でながら、思い出したように坂本が声を上げた。
「お前、シャバに恋人がいるらしいじゃないか?」
えっ…?
「なんでも弁護士さんだって話だが…?」
どうしてお前がそれを…?