第14章 Dilemma
味のない冷えた食事を無理矢理腹に納め、暫くするとすぐに消灯の時間になった。
通路の裸電球を残して全ての灯りが消えると、元々明かりの少ない独居房が、更に薄暗く、冷たく感じる。
格子越しにギッと軋む音が聞こえた。
「さっさと布団入んねぇと見回りが来るぞ?」
どうやら松本は早々に布団の中に…潜り込んだようだった。
「そうだな…」
重い腰を上げ、剝き出しのコンクリートに備え付けられた簡易ベッドの端に腰を降ろそうとした瞬間、身体に感じた異変。
「…なんだ…コレ…」
ドクンと心臓が大きく脈打ち、暑くもないのに噴き出る汗と、徐々に荒くなっていく呼吸に、俺の身体はベッドに辿り着く前にコンクリートの床に倒れ込んだ。
「おい、どうした! おいっ…!」
松本の声が遠くに聞こえる。
こんなに近くにいるのに…
「…かんな…い…」
頭を激しく振り、何とか声を絞り出し答えるが、ジワジワと湧き上がってくる火照りにも似た感覚には抗えず、俺は無意識のうちに中心へと手を伸ばした。
身体を丸め、意図せず勃ち上がる中心を握り込み、乱暴に擦り上げた。
「お前何してんだ…、おい、智!」
その時だった…
地獄の門が開き、悪魔が俺に向かって歩み寄る足音が聞こえた。