• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第13章 Invariable


痛む頭と重い身体を引き摺りながらシャワーを浴びた。

塗れた髪をタオルで拭きながら、滅多に開けることのない食器棚の扉を開けた。

確かここにあった筈…

数少ない食器を掻き分け、奥に手を入れると、角ばった箱のような物が指先に触れた。

やっぱり…

俺はそれを取り出し、食器を元の位置に戻すと、食器棚の扉を閉めた。

ガスコンロの前に立ち換気扇を回し、手にした箱を開ける。

智君が俺に隠れてこっそり吸っていた煙草が、箱の中にまだ数本残されていた。

箱の中から一本を抜き取り口に咥え、一緒に入っていたライターで火を点けた。

スッと一口吸い込み、吐き出すと、紫煙はあっという間に換気扇に吸い込まれて行った。

「馬鹿だな、智君は…。俺に隠れて吸うことなかったのに…」

俺が気付いてないとでも思ってたの?
ちゃんと気付いてたんだよ?

言ってくれればよかったのに…
どうして俺に隠れて吸ってたの?

そんなことで俺が君を嫌いになれる筈なんてないのにさ…

ねぇ、智君?
俺は君にとって、どんな存在だったの?

幼馴染?
恋人?

それとも…ただの友達?

違うよね?
そうじゃないよね?


智君?

君が遠いよ…
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp