第13章 Invariable
「ご、ごめん…」
慌てて体制を整えようとした俺の身体を、岡田の腕が引き留める。
「…岡…田?」
「…少しだけ…このままで…」
岡田が俺の肩口に顔を埋める。
その肩が少しだけ震えているのは、俺の気のせいなのだろうか…
らしくない…
こんなに弱い岡田を、俺は知らない。
いつだって俺を支え、導いてくれる岡田が?
決して弱音など吐くことのないと思った男が、声を殺して泣いている。
さっきと言い今と言い、一体何がお前をこうさせる?
岡田、お前に一体何があったんだ?
お前のために俺は何ができる?
今の俺に…
俺は岡田の震える背中に腕を回した。
「いいよ、俺でよければ…。泣けよ…」
俺に出来るのは、お前を黙って泣かせてやることだけだから。
それしか俺には出来ないから…
そっと髪を撫でてやると、岡田の背中がビクンと震えた。
「すまん…櫻井…」
俺の身体がゆっくりソファーへと押し倒される。
気が付けば岡田が俺に覆い被さる格好になっていた。
「…岡田…?」
涙に濡れた瞳が俺を見下ろす。
「今夜だけ…、今夜だけでいいから…。櫻井、俺を一人にしないでくれないか?」
岡田の声が震える。
「…分かった。今夜だけ…」
俺がそっと瞼を閉じると、俺の唇に戸惑いがちに岡田の唇が触れた。