第11章 State
房に戻った俺を、マサキの屈託のない笑顔が迎えてくれた。
「もう大丈夫なの?」
「ああ、心配すんな」
マサキを安心させようと、なんとか自分を繕おうと、無理矢理に笑顔を作って見せる。
内心ではアイツの…坂本の言葉が頭から離れなくて、怖くて仕方ないのに…
松本のことも気になっていた。
もしも本当に井ノ原の言う通りなのだとしたら?
松本は俺をアイツらから守るために?
でも、だったら何故ここまでする必要がある?
二宮にしたってそうだ。
どうしてさっき坂本から俺を?
それにマサキが、一瞬ではあったが倉庫で見せたあの顔…
普段のマサキからは想像も付かないような、氷の様に冷たい目と、感情を最大限に押し殺したあの声。
初めてマサキを怖いと思った。
「サトシ、さっきから難しい顔しちゃって、何考えてんの?」
「いや、別になんでもねぇよ…」
「ふ〜ん。ならいいんだけどさ…」
そう言ってマサキが俺の隣に腰を下ろした。
「なあ、松本って何やらかしてここへ?」
こんな所へ来るくらいだ。
“シャバ”と呼ぼれる世界で、よっぽどのことをしてきたに違いない。
いや、寧ろなんの理由もなく、ム所にぶち込まれることの方が珍しいくらいだ。
俺みたいに…