第11章 State
「お前、誰とでも寝るそうだな?」
坂本の低い声が俺の耳元で囁く。
「なかなかの評判だぞ?」
ククツと喉を鳴らし、伸びた手が俺の尻をスルリと撫でた。
「ココの具合がいいってな…」
布越しに坂本の指が蕾をグッと押す。
「…痛っ…」
引き攣れた痛みが身体を駆け抜け、俺は思わず顔を歪める。
「まったくアイツも余計なことをしてくれたもんだ。 まさか使い物にならなくなるまでヤルとはな…」
坂本がチッと舌打ちをすると、忌々し気に眉を潜めた。
アイツ…?
松本のことを言っているんだろうか?
そう言えば松本も同じ様なことを言っていた。
『暫く使いモンにならねぇな…』と…
やはり松本は…
「まあいい。傷が治ったらまた楽しませて貰うよ」
俺の手首から手錠が外された。
「お前だって忘れられないだろ? コイツを…」
自由になった手が坂本の中心に引き寄せられる。
「……っ!」
そこは布越しにも分かるほどガチガチに張り詰めていて、咄嗟に引こうとした手の上から、坂本の手が重なった。
「ほら、コイツもお前を忘れられないって言ってるぜ?」
俺が気付いてることを、コイツは知っていたんだ。
怖い…
あの夜の恐怖が蘇る…