第2章 Crime
街中がクリスマスカラーに彩られる中、行き交う人並みの中に翔の姿を探していた。
ふとショーウィンドウに目をやると、壁に掛けられた洒落たデザインの時計が目に入った。
5時45分…
待ち合わせの時間は6時だから、まだ少し余裕はある。
手には小さくて安っぽい紙袋。
翔への少し早いクリスマスプレゼントだ。
中身は腕時計。
翔がいつも身に付けている物に比べれば随分安物だが、独特のデザインが気に入って、安月給を遣り繰りしながら貯めた金で買った。
ラッピングくらいして貰えば良かった…
今更後悔してって仕方がない。
俺は紙袋をキュッと握り締めた。
その腕には翔へのプレゼントと揃いの腕時計が嵌められている。
ペアなんて趣味じゃないが、翔の喜んだ顔を思い浮かべると、それだけで期待に胸が膨らむ。
ゴーンゴーン…
時計台が6時を知らせる金を打ち鳴らした。
人の群れが時計台の下に集まる。
足を止め、皆一様に時計台の文字盤を見上げる。
文字盤が開き、陽気な音楽と共に人形達が踊り出した。
そんな光景を横目で見ながら、ふと左手の手首に嵌めた時計に視線を落とす。
時間に正確な翔が遅れてくるなんて…
何かあったんだろうか…
時計から視線を上げた瞬間、俺の周りを数人の警察官が取り囲んだ。