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Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第10章 Testimony Ⅱ


「兄ちゃんは櫻井さんのこと、真剣に愛してたんです。もし、ニュースで言ってたように、兄ちゃんがその人と交際関係にあったのだとしたら、何か理由があった筈です。

ましてや殺すなんて…絶対に考えられない!」

さっきまで笑顔だった侑李の顔が、悔しそうに歪められる。

確かに侑李の言う通りだ。
智君には、その女性と交際関係になければならない、何らかの理由があった筈なんだ。

「カモフラージュ…」

隣で深山さんが独り言のようにポツリ呟く。

「いやね、今回の加害者とされている大野さんと、櫻井さん…でしたっけ? 恋人関係にあったんですよね?」

「え、ええ、まぁ…」

「あなたの立場上、世間にそのことが知れたら…?」

何が言いたい?

俺との関係を隠すために…世間の目を欺くために、智君が被害者である女性と…?

「俺は別に構いませんよ? 世間にどう思われようと…寧ろ隠す気もないし…」

智君となら…

智君と一緒なら、好奇の目に晒されようが、汚い言葉で罵られようが、構やしない。

「そうですか…。でも彼はそう思ってなかったとしたら?」

深山さんが頻りに耳朶を弄る。

その様子に、俺は苛立ちすら感じた。

その時だった。
デスクの上に置いてあった長瀬さんの携帯電話が、着信を知らせるメロディーと共に震え出した。
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