第2章 Crime
児童相談所に保護された時の俺は、極度の脱水症状と栄養失調で、即入院を余儀なくされた。
その後、健康状態が回復すると、今度は児童養護施設へ送られることが決まった。
そこでの生活は、子供の俺にとっては苦痛そのもので、何度も逃げ出そうと思った。
でも、その度に思い止まった。
幼い俺に、そこを出て生きて行く術は残念ながら持ち合わせてはいなかったから。
唯一の支えは、月に数回送られてくる翔からの手紙…それだけだった。
やがて中学を卒業すると、施設には居られなくなり、俺は施設から紹介された住み込みのバイトをしながら、安月給でもなんとか日々をやり過ごした。
その頃になると、俺と翔の関係にも少しずつ変化が訪れ、気が付けば身体を重ねる関係になっていた。
もっとも、最初に求めてきたのは翔の方だったけど。
初めてのキスも、初めてのSEXも…
ぎこちないながらも、俺達はお互いを求めあい、幼い愛を囁き合った。
そうして過ごす翔との時間だけが、俺の全てでもあった。
他には何もいらない…
翔さえいれば、他には何も…
翔だけが俺が生きる”理由”だった。
慣れない肉体労働に明け暮れる毎日…それでも翔がいたから、辛い日々でも耐えることが出来たんだ。