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Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第2章 Crime


俺は母ちゃんの帰りを、ただひたすら明かりも消えた暗い部屋で待ち続けた。

それでも学校にはちゃんと休むことなく通った。

給食が食べれるから。

それだけが、幼い俺が考え付いた生きる術だった。

でも、子供の世界ってのは実に残酷で…

終にはガスも水道も止められ、風呂にも入れない俺は、“臭い”だの“バイ菌”だの、汚い言葉で罵られるようになった。

イジメ、ってやつが始まった。

そんな中でも翔だけは違った。
以前と変わらない態度で俺に接してくれた。

今思えば“同情”とか“憐れみ”の感情だったのかもしれないけど。


やがて家にも借金取りが押しかけるようになると、俺は学校に行くことすら困難な状況にまで追い込まれた。

玄関には暴力的な言葉を書き殴ったビラが常に貼られ、怒声は昼夜を問わず響き渡った。

こうなると流石に近隣住民も異変を感じるらしく、警察が介入することも度々あった。

カーテンを締め切った部屋の片隅で、助けを待つこともなく、ただ飢えた身体を横たえ、膝を抱え“死“が俺を救ってくれることだけを祈った。

心も、そして俺が存在する空間も、全てが“闇”に支配されていた。

そんな“闇”から俺を救い出してくれたのが、翔だった。

翔が学校にも来ない俺を心配して、担任に相談を持ちかけたことで、俺は児童相談所に保護されることになった。
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