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ねこわん‼︎【HQ】

第8章 頑張る君に。




そうだよね。



運、だけじゃないけれど、私達が3年生になってからたくさんの運が私たちに巡ってきた。


烏野と練習試合ができたこと。

烏野を含めた5校で合宿ができたこと。

春高予選で、東京都の代表になれたこと。

東京体育館で烏野とゴミ捨て場の戦いができたこと。

たくさんたくさん巡ってきた運。


『今度も、いい運が巡ってくるといいね。』

「なあ美優。」

『なに?クロ。』

少しの空白ののち、クロは話す。


「合格したらさ…









チューしてく『しません。』
「だよなー。」

きっと電話の向こうのクロはにやり顔で笑っているんだろう。

仕方ない。



『試験頑張ったら、さすがにさんまは無理だけどクロの好きなものご馳走してあげるから。』

そういえばクロは何かを思いついたかのように、わざとらしく「あ。」と声を漏らす。

「なあ、料理教えてくれって言ったら迷惑か?」

『別に?でもどうして?』

「今回受ける大学の近くに引っ越そうかと思って。
その方何かと楽だろ?
で、一人暮らしするんだったら一通り家事はこなせねえといけねーんだけど…」

『かんたん手早く作れる料理が知りたいと。』

「わかってんじゃねえか。」

そう笑うクロ。

『じゃあ何品かピックアップしておくね?』

「おう。よろしく。」

『じゃあ明日頑張ってね?』

「おう、ありがとな。」

どちらからともなく電話を切る。





ふと、外の空気が吸いたくなって窓を開けた。

息を吸えば、肺が凍ってしまいそうなほど冷たくて、思わず体を震わせる。

明日、晴れるといいな。

そう、私は願った。


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