第8章 頑張る君に。
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「みーゆさん!なにやってるんですか?」
先にお風呂に入ってきたリエーフが私の横でにこりと笑う。
髪の毛くらい乾かしてきたらいいのに。
『んー?レシピブック作ってるの。クロに。』
「黒尾さんにっすか?」
『そう。大学から一人暮らしするんだって。
それでかんたんな料理をノートにまとめておいて、大学合格したらプレゼントしようかなって。』
そう、リエーフに話しかければリエーフは頬を膨らませ不満顔。
「ずるい…」
『え?』
リエーフはさらに私をぎゅっと抱きしめた。
「俺には作ってくれなかったじゃないですか…」
確かに私がリエーフに教えたときは作らなかったなぁ。
『でもね、リエーフ?』
回された腕に手を添える。
『リエーフにはノートなんてなくても私がずっと教えてあげられるじゃない?
それともリエーフは私が教えるよりノートの方がいいの?』
「美優さんがいいです!」
私の言葉にかぶるようにリエーフが言う。
『じゃあ、私が1番最初に教えた”ココア”、作ってきてほしいな?私とリエーフの分。』
「〜っ!はいっ!」
リエーフはぱたぱたとスリッパを鳴らしながらキッチンまで走って行った。
さて、明日も冷える。
今日はリエーフとギュってして寝よう。
そう考え、私は今書いていたノートをぱたりと閉じてキッチンにいるリエーフの元へと歩いた。
end