第8章 頑張る君に。
今日はいつもより冷える。
日めくりのカレンダーは1月13日を示していた。
私はスマホをタップすると電話をかける。
電話は3コール目で繋がった。
「なあ美優、最後の追い込みかけてんのに邪魔すんなって。」
『えー?今の時間まで勉強してるの?徹夜とか体に悪そー。』
「うるせー。で、用件は?邪魔しにかけてきたわけじゃないんだろ?」
さすが。
わかってるじゃない。
『…明日、頑張ってきてね?
クロ。』
そう。
明日からの2日間、クロはセンター試験だ。
つい1週間前まで春高に出場していたから心配で心配でしょうがない。
『明日寒波だって。遅延証明書が出る公共機関使ってってニュースで言ってた!
あと、手袋マフラー忘れないようにね?
受験票もだよ?
ご飯も先に買っておいたほうがいいって!』
不安で慌てる私をよそにクロは笑う。
「んなヘマしねえよ、美優。信じてろって。」
そして、ポツリとつぶやいた。
「俺、運だけはいいんだ。」