第32章 灰羽リエーフの数日〜2025.birthday〜
薄膜1枚ないだけでこんなに違うのか。
リエーフが中へと進んで行くたびにぞわぞわと快感が肌を撫でていく。
快感を受け流すことができずに頬を涙が伝う。
違う。
私じゃない。
リエーフの瞳には大粒の涙が溜まり、溢れていく。私が見ていることに気づいたリエーフは手の甲で涙を拭うが、拭き取ることができないほどに溢れていく。
『リエーフ…気持ちよくなかった?』
不安げに呟くと勢いよく首が横に振られるが涙はこぼれたままだ。
「違うんです。」
寝転んだ体を引き寄せられ起こされる。対面座位にされ中の陰茎がさらに深く突き刺さり背中を反らせれば、それすらも一緒に体を抱きとめられる。
「一生、美優さんと一緒にいられるんだって思ったら嬉しくて…」
ああ
私はたくさんリエーフに我慢させてしまっていたんだね
大好きで
一緒にいるのが当たり前になっているのに
それでもたくさんの我慢をさせてしまっていた
貴方の名前を呼び、潤んだ瞳に口付ける。
目尻に浮かぶ雫も、頬を流れた跡も。
『たくさん待ってくれて、ありがとう』
眉間に口付け伝えれば、さらに涙が溢れていく。
抱きしめ宥めるように鼻先を擦り寄せれば、伸びた手が頬を包み、優しいキスが降ってくる。
「死ぬまで幸せにします。」
嬉しいな
こんなに愛されるのが
愛してくれる人がいるのが
『リエーフ、好きよ』
そう伝えれば、グリーンの瞳が更に輝き私の大好きな笑顔が私に向いた。
「ねえ美優さん」
潤んだ瞳が柔らかく開き私を向く。
『なぁに、りえ』
名前を呼び終わる前、掴まれた腰。そして下からの突き上げ。
声にならない声で耐えながら中をきゅううと締め付けてしまえば、息を詰める音。
「美優さん、シよ?」
いつの間にか、嬉しいと涙を潤ませる恋人はいなくなり、いつの間にか細められた瞳で私を射抜く、狩人のような恋人がいた。
奥まで突き刺したあとも、ゆるく腰を揺すられ中を刺激している。
『あっ、まっ、てぇ…』
「待てません。一緒に気持ちよくなるんですもんね。」
そうだけど
ごちゅん、と奥を先端で穿たれれば、もう何も考えられない。
縋るように項に腕を回せば、こくこくと首を縦に振る。
そんな私の耳元に息を吹き込んだリエーフは、背筋に指を這わせ、私を落とす言葉を吹き込んだのであった。
