第32章 灰羽リエーフの数日〜2025.birthday〜
side灰羽
朝が来た。カーテンの隙間からは柔らかな光がさしている。なぜ俺はベッドに横になっているんだろう。いや、朝が来るのはおかしいことじゃない。
…なぜ俺の記憶は飯を食って帰ってきた後で途切れているんだろう。
隣には俺のTシャツを着てすやすやと寝息を立てる美優さん。俺は昨日のまんま。
珍しく寝落ちたようで、自身の失態にグシャリと頭を掻きむしった。
昨日の美優さん可愛かったのに…
いや、美優さんはいつでも可愛い。でも、昨日の帰った時の美優さんは一段と可愛かった。着替えたあとに洗濯機に戻る時間さえも省こうとするくらい急いでいる姿も可愛かったし、可愛い下着姿なのも良い。それに可愛いおっぱいをたゆたゆと下着から溢しそうにしながら走る姿もたまらなくよかった。そのあと抱きしめた後の期待するみたいな顔も可愛すぎて、ホテルに遅れる連絡をしそうになるくらいよかった。
よかったのに…!
やっぱり昨日連絡入れて部屋かリビングで1回シておけば…
そんなことを考えていればもぞりと隣が身じろぐ音。視線を向けると美優さんの瞼がゆっくりと開く。
『ん、りえーふ…』
眠たそうな瞳がこちらを向く。その瞳が俺を認識したようで、ふにゃりと幼い顔で笑う。
『ことしも、いっしょにたんじょーびいわえて、うれしい。』
ベッドについた手にすりすりと頬を擦り寄らせる姿にこちらも頬が緩んでしまう。
「美優さん、好きだよ」
そう改めて伝えれば、擦り寄る腕にちゅ、と唇が触れる。1回だけでなく、2回、3回と振れる唇に頬を蕩けさせると美優さんの腕が伸びてくる。と、ぎゅう、と体を腕が包む。そして、伸びた体が俺の唇を奪っていく。
『きょうもすき。』
無理だ。
我慢ができなくてそのままベッドに押し倒すと、眠たげな瞳が何度か瞬きをする。
「美優さん、スるね。」
『へ、りえーふ』
「無理。我慢の限界。」
ちゅ、ちゅ、と頬に口付け手のひらをきゅっと握れば握り返す手。
『いっかい、だけね。』
恥ずかしそうに頬を染めながらこちらを疑う瞳は昔から変わらない。それが可愛らしくて俺はそのまま唇を重ねた。