第31章 灰羽リエーフの数日 2023
side 美優
泣いてしまったリエーフを慰めると、私たちは2人で四苦八苦しながら指輪を作った。
シンプルな見た目の、指輪の中にお互いの瞳の色の宝石を埋め込んだ、そんな指輪。作り方によっては外側に石を埋め込んだり、少し大きめの石をメインにできたりもしたけれど、私はシンプルで長く使えるものが良いと意見を曲げなかった。
外で食事を食べ帰宅すると、リエーフが先にお風呂を進めてくれたからありがたく先に入る。一通り体を洗い終わりお湯に浸かり体をぐんと伸ばせばお風呂の照明で輝くプラチナ。
リエーフの髪の色のようなその指輪に口元を笑みに変えるとお風呂から出た。
髪はリエーフがお風呂の時に乾かせるなと洋服を身につけると、肩にタオルを掛けリエーフの部屋に向かう。
と、気のせいか。
ふわりと香るいつもと違う香り。
そっとドアの隙間から部屋を覗き込めばリエーフはベランダにいた。このあとお風呂に入るとはいえ、時間的に肌寒くなってくる頃。
…また隠れて煙草を吸っているのだろう。
別に禁止しているわけでもないのに、なぜかリエーフは私の前で頑なに煙草を吸わない。対策はしているから大丈夫だと思っているのかもしれないが、ふわりと服から香る時があるから詰めが甘いなとは思う。
廊下を少しだけ下がり、さも今お風呂からきたようにいつもよりわざとらしくスリッパの音を立てて歩いて部屋の戸を開ける。そうすれば、ベランダからはリエーフの声が聞こえた。