第30章 夏、避暑にて。
息が、できない
溺れるように唇を開くが、吸いこもうとした空気はリエーフの唇で塞がれる。
縛られた腕はそのままに私の奥を長い指が刺激すれば、私の体は従順に跳ねる。
体を重ねて10年以上。
私の気持ちの良い場所を私以上に知り尽くしているリエーフは私を逃さないように、私の横に体を添えている。
「ん…気持ちいい?」
私の唇から離れていくリエーフが問いかける。
わかるでしょ。
貴方のせいでこんなに乱れているのに。
返事の代わりの甘い声混じりの吐息に満足そうな顔が憎たらしくて、すごくすき。
リエーフに弄ばれるたびにお腹の中に溜まる熱が、頭をおかしくさせていく。
『ぁ…りえ、ふ…りえーふぅ。』
感じすぎて潤む瞳を向ければ、そのまま覆い被さる体。
熱に浮かされて高まった体温が心地よくてぎゅうとしがみつくと、頬に柔らかな唇が触れる。
「美優さん可愛い。今日えっちすぎません?」
『ふぁ…リエーフのせい…だもん』
私のことを知りすぎているリエーフのせい。
時計を見る余裕もないから何時になってしまったのかもわからない。わかるのは外が闇で包まれたことだけ。
浴衣だからとせっかく用意したTバックは、履いたまま愛液で濡れてしまったためいつのまにかリエーフに脱がせられている。それなのに浴衣は腰がもう一つの腰紐に支えられ脱げないままはだけている。
熱に浮かされた体はとうに欲しているのに、リエーフは一枚も脱いでいない。それどころか涼しい顔で乱れた私を視姦する。
『も…ちょうだい?』
細められた瞳に懇願すれば頬に伸びる手。擦り寄り口付ければリエーフの口端が緩く上がる。体を起こしたリエーフは下履きを緩く下ろし、その先端を唇に当てた。