第29章 黒猫と三毛猫、夏の戯れ 2023
「ご近所に聞こえちゃうかもしれねえけど、いいのか。」
問いかけられる言葉に首を横に振るけれど、このタイミングでやめてくれるほど優しい人ではないのは知っている。むしろこの状況を楽しむ人だとも知っている。
「へや、行きたいっ…」
絞り出すように願う声は近づく唇に吸い込まれる。
隙間からこぼれる声に感化されたのか、ウエストラインを指が滑り、ビキニのサイドのリボンが緩む。
「すこーしだけ我慢、な?」
解けた水着の隙間から私のお尻を撫でる男らしい大きな手。
離れた唇から繋がる銀糸がぷつりと途切れるのを合図に濡れた唇に舌が這う。
ずるい。
そんなふうにされたら許してしまう。
でも私だって、成長してないわけじゃない。
体を反転させ膝立ちになると、濡れてぺしょりと下がる髪の毛に指を絡ませ火照る谷間に引き寄せる。
そのまま膝を股間に擦り寄せれば、とっくに反応していた熱を持つ中心に擦り付けた。
「ここじゃ嫌。ちゃんと中で愛してください。」
谷間から上がる視線。
水面が反射していつもよりキラキラと光る瞳は、私の熱を持ち潤む瞳と合わさりぶつかる。
「ほーんと、オネダリ上手になったよな。莉奈チャンは。」
「伊達に色男のカノジョしてませんし?」
「言うようになったじゃねえの。」
くすくす、といつもより控えめの笑みが聞こえ、谷間の熱が離れる。
繋がる視線が近づいてそのままキス。
リップ音と共に離れた唇がお互い笑みを溢せば、額が擦り寄った。
「てつろーさん、えっち、しましょ?」
ぱしゃり
跳ねる水面が私達に熱を連れてきた。
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