第29章 黒猫と三毛猫、夏の戯れ 2023
お互いが部屋に戻り水着を着て戻る。
今の仕事に就いてからてつろーさんと中々休みが合わなくて、ここ数年一緒にプールも行けず終い。だったらこのタイミングで遊ぶのもいいかな、たまの水遊びも楽しいだろうな。そう思い、昔の水着を引っ張り出した。
「お、それ懐かしい。」
着用してリビングに戻れば何かを準備するてつろーさんの視線が上がり、その目が細まる。身につけたのは、昔熱海に行った時に美優さんとお揃いにした水着。あの時はパレオを巻いていたけれど今日はビキニのみ。10年くらい前に買ったものだから着られるかなと思ったけれど大丈夫。…ちょっとだけお尻と胸がはみ出るけれど。
それでも、この水着のことをてつろーさんが覚えていてくれたのが嬉しくて、口元が緩む。
「てつろーさんも格好良い。」
リビングの中心で私を待つてつろーさんに近づきぎゅうと抱きつくとその素肌に頬を擦り寄せる。優しげな手が私の背中を撫でると安心するように肩の力を抜いた。
「さて、入るか。」
てつろーさんが窓を開けると強い日差しが肌を刺す。日焼け止めは塗ったけれど日焼けしそうで一瞬躊躇する。しかし、てつろーさんに背中を押され、外に飛び出せば、茹るような暑さに思わず苦笑いをした。
ビニールプールに溜まる水を手で掬う。先ほど溜めたばかりの水は外気で早くもぬるくなっていて、そのまま横のてつろーさんにそっとかける。
「冷たい?」
「んー、微妙?」
そうだよね、でも汗を流すのならこれで十分。
…だと思ったらうなじに当たる何か。
振り返ればファンシーな銃…もとい水鉄砲が首筋に当てられていた。
てつろーさん曰く水遊びは全力であれ。
首筋の銃を受け取り水を入れ直すと準備OK。
いつの間にか何処かから取り出した2丁の拳銃に水を貯めたてつろーさんと向かい合う。
「お互い水がなくなるまでな。」
「望むところです!」
「それじゃあ…」
「「スタート!!」」