第28章 いつまでも輝く君でいて〜if〜
『千景、リエーフは』
「美優、黙って目瞑って。時間ない。」
いやいや、何が起こってるの。
千景の真剣で鋭い言葉に口を閉ざし目を瞑る。
多分化粧を落とされ、新たにメイクをされている。同時になぜか髪の毛もセットされているようだ。
じっとすること数分。千景に声をかけられて目を開けば、いつもより濃いめ、でも可愛らしく化粧をされ、癖を活かした低めのポニーテールをされた自分が鏡に映った。
『どういう、こと…』
「それは本人に聞きな。あと、これね。」
どこから取り出したのだろう。千景がパールとリボンで飾られたふわふわのヴェールをポニーテールの結び目に装飾してくれる。
これじゃあまるで…
「美優さん可愛いっすね。」
後ろからリエーフの声がする。顔をあげれば鏡越しに映るリエーフの顔。服装は……白のタキシード。
いつの間にか用意されていた白の足首までのレースアップのブーツを履かされ立たされれば、仕上げとばかりに、ワンピースと同じレースで作られたエプロンのようなものが腰に巻かれ、即席のフィッシュ・テールのドレスが仕上がる。
『りえ、ふ』
魔法の仕上げとばかりにリエーフから差し出されたのは白のレースのフィンガーレスの手袋と、白のお花とグレーのリボンで彩られたブーケ。
「俺と一緒に、ランウェイ、歩いてくれませんか。」
ああ、もう。
リエーフったら。
騙し討ちは酷い、とか、歩き方なんてわからない、とか
たくさんの文句はあるけれど、
それ以上に嬉しさと涙が込み上げる。
せっかくしてもらったメイクが落ちてしまうから堪えながら頷くと、私はリエーフに手を引かれステージの端に移動した。