第27章 灰羽リエーフの1日 2019
PM08:55
先生やコーチ、歴代の主将数名の挨拶、俺の誕生日ってことで一人ケーキ入刀をしたりと時間は過ぎていく。
20時を回る頃には各々次へ向かう算段を整えちょこちょこ抜けていくグループが出来ていた。
俺もどこかに混ざろうとしたけれど何故かみんなに断られる。
莉奈に理由を聞けば、「野暮ですねー」なんで笑われる始末。
他の面子には連絡先だけ確認して、俺は今一番話をしたい人のところへと向かった。
「みーゆさん!」
「リエーフ。他の子達、もういいの?」
ふわり、笑う美優さんは、少しアルコールが入っているのかいつもより幼く笑う。
「ん、大丈夫です。美優さんは?」
「私は大丈夫。お会計とかこの後のことはやっくんに任せてるし。」
「あの…これのためですよね…美優さんが夜久さんに会ってたの。」
そう問えば美優さんは少し困ったように笑う。
「ん…でも誤解させちゃったのは私だし。」
自分がさせたとはいえそんな表情をもう見たくなくて、俺は美優さんの腕を引き壁際に追い込むと周りから美優さんを隠しながらそっと唇を塞いだ。
俺の陰で恥ずかしがる美優さんに二度三度と唇を重ねれば俺に縋り付きながら美優さんも唇を求める。
後頭部に手を添えると体を密着させるように俺の首に手を回す美優さん。
流石に手を出すわけにいかないからと触れるだけのキスに留めていたけれど、美優さんはかぷりと俺の唇にかぶりつく。
「みゆさん…?」
「………だめ?」
頬を染め強請るような口ぶりに我慢なんてできなくなった俺。
近くの椅子に美優さんを座らせると、美優さんの体調が優れないからとタクシーを手配してそそくさと会場を後にしたのであった。
ーーーーーー
「やっぱりこうなりましたねぇ。てつろーさん。
「まああいつららしいな。ちゃんと俺も最後まで付き合うからな。幹事の夜っくん?」
「俺海くんいればいいや。黒尾帰っていいぞ?」
「夜っくんひどいっ!」
「お遊びはそこまでにしなよ、クロ。みんないつ解散するかで迷ってる。」
「研磨今までどこに…まあいいや。じゃあ締めるか。」
「おう。じゃあそろそろかいさーん!」