第27章 灰羽リエーフの1日 2019
PM06:39
車に乗って着いた先は美優さんの職場。
今日は休みのはずなのに煌々と明かりがついていた。
なんでだ、と疑問に思いながらも黒尾さんの車から降りれば黒尾さんに背中を押される。
恐る恐るドアを引けば、突然なる破裂音。
びくりと体を跳ねさせればぎゅっと目を瞑る。
恐る恐る瞼を開けば、人、人。
「は?」
理解ができずきょろきょろと周りを見渡せば聞き慣れた俺を呼ぶ声。
気まずそうに俺の前に立つ美優さんはやっぱり今日も可愛くて、俺は美優さんを抱きしめた。
「っ!リエーフ⁈」
「美優さんごめん。」
「違っ!ちょっと待って!」
「待てない。今謝りたい。昨日は本当にごめんなさい。」
「みんないるから今は待ってぇ!」
へ、と美優さんを抱きしめる腕の力を抜き周りを見れば気まずそうにこちらを見る先輩後輩の姿。
「リエーフ、ちゃんと周り見ねえのは変わってねえな?」
近づいてくるのは夜久さん。
「本当。美優、愛想つかしたらいつでもおれの所に来なよ?」
ちゃっかり俺から離れた美優さんを口説いてるのは研磨さん。
「どういうことっすか?」
そう問えば美優さんが俺に向き合い困ったようににこりと笑う。
「リエーフの誕生日と音駒バレー部OB、OG会。リエーフに内緒で企画してたの。」
サプライズだから、やっくんと会ってたの内緒にしたくて…と困ったように笑う美優さんに後ろから来た黒尾さんが俺の頭をぽんと撫でる。
「リエーフは勘違いして夜っくんと美優が浮気したーなんて言ってたみたいだけどな。」
「うわっ!黒尾さんやめてくださいっ!」
恥ずかしい間違いを口にされて慌てていれば海さんがくすりと笑いながらぱんぱんと手を叩いた。
「全員集まったからそろそろ始めようか。」
「そうだな。じゃあみんな席つけよー。」
俺の近くから離れていくみんな。
俺はどこに座ればいいのかときょろきょろしていればするりと腕に絡みつく美優さん。
「…こっち。」
真っ赤な顔をして俺を誘導する美優さんに、やっぱり心臓の鼓動が速くなり、やっぱり美優さん好きだなぁと気持ちを再確認すると、俺は美優さんに連れられ自分の席に向かったのだった。