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ねこわん‼︎【HQ】

第27章 灰羽リエーフの1日 2019


AM12:26

「ありがとうございました。」

「じゃあまた3時間後に取りにきますね?」

「お待ちしております。」

黒尾さんと店員さんのやりとりを見ながら、俺は黒尾さんの後ろに付いた。

店員さんに連れられフィッティングルームに入れば、1着のスーツがかけてあった。
店員さんに渡され試着をすれば少し手直しはいるけれどほぼぴったり。
ダークグレーのシンプルなスーツに黒のドレスシャツ、シルバーのネクタイのそれは俺に合わせられたもので思わず店員さんに問いかけた。

「あのっ、これって。」

「本当は秘密ってお話されていたのですが…先日こちらをご予約された方が測ってきてくださったんです。誕生日である本日、本人に着て頂きたいからと。」

知らなかった、と小さく言葉を吐き出せば店員さんは手直しの箇所を調べながらくすりと笑う。

「ふわふわした可愛らしい雰囲気の方ですね、彼女さんですか?」

問われた言葉に不意に出る笑み。

「結婚、したいんですがなかなかタイミングが掴めなくて。一応向こうからの了承は得ているんですが…」

そう伝えれば裾の修正を確かめていた店員さんが立ち上がりくすり、と笑う。

「タイミングなんて関係ないですよ。相手からの言葉があれば私だったら覚悟決めちゃいます。」

「でも今喧嘩中…いや、今回は俺が悪いんですけどね?」

ジャケットを脱ぎながら苦く笑うと俺からジャケットを受け取った店員さんが俺に問う。

「いや、嫉妬なんです。ずっと俺だけ見ててくれたから。交友関係もだいたい被ってるんで出かけるときはちゃんと誰と行くって行ってくれてたので…今回、初めて嘘…っていうか誤魔化されたんでカッとなっちゃって。」

俺の話を聞いた店員さん。
きょろきょろと周りを見ると、俺の袖を引き耳元でこそりと呟いた。

「彼女さん、今日のことすごく楽しそうにお話してましたよ?多分パーティですかね?だから心配しなくて大丈夫ですよ。」

店員さんの顔を見ればにこにこと笑っていて、なんだか大丈夫な気がした俺はもう1着を作るために採寸をお願いしたのだった。

ーーーーーー

「おい、リエーフ。飯何食いたい?」

声をかけられた方に目を向ければ黒尾さんがにやりと笑う。

「美優さんがしようとしていることの邪魔にならないならなんでも。」

そう答えれば黒尾さんは吹き出し笑い、俺の肩を叩いた。
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