第27章 灰羽リエーフの1日 2019
AM10:00
美優さんとよく行く池袋の巨大なショッピングモール。
その中の水族館前に向かえば、グレーのドレスシャツに赤のネクタイ、黒のジャケットとお揃いのパンツでおしゃれに決めている黒尾さんがスマホをいじりながら俺を待っていた。
「きました。」
「やっぱりな。部活は遅刻するくせに大会とか合宿は時間ぴったりだったもんなお前。」
スマホを弄り終えた黒尾さんに行くぞと促され、今登ってきたエレベーターを下る。
「…で、美優さんは。」
「待ってろって、ちゃんと連れて行ってやるから。」
くすり、と笑い黒尾さんは車のキーを手で弄ぶ。
はやく、はやく謝りたい。
そう思う俺の表情を見た黒尾さん。
その口元は意地の悪い笑みを浮かべて言葉を紡ぐ。
「まあ、ちょっと寄り道してからだけどな。」
「…は?」
「まあ、付いて来いよ。」
完全に楽しむ黒尾さんの後ろを付いて、俺は駐車場に向かった。
どこに居るんだよ、美優さん。