第27章 灰羽リエーフの1日 2019
AM06:00
目を開ければやはり美優さんはいない。
眠い目をこすり部屋を出ればひんやりと冷え切った床が足を冷やす。
いつもはとなりに美優さんがいなければ部屋はあったかいし、美優さんより早起きすれば隣の美優さんがあったかいから寒さなんて気にならなかった。
「寒い、な。」
は、と息を吐けば室内なのに息が白く染まる。
俺が悪い。
1ヶ月前、夜久さんと美優さんが2人で歩いているところを見た。
その時は別に何も思わなかった。
その頃から美優さんのスマホが日に何度も震えるようになった。
仕事、店長、莉奈、ツッキー
知る名前の羅列と俺の前では絶対に返信しないメッセージアプリと部屋に戻って行われる通話。
そんなことはないとわかっていても感じてしまうモヤモヤ。
きわめつけは昨日見てしまった美優さんと夜久さん。
安心したくて問うた『昨日、何してました』に対しての『仕事』の言葉。
俺だって信じたいけれど
不安しかなかった俺にはもう限界で
俺は美優さんの肩を強く握っていた。