第27章 灰羽リエーフの1日 2019
事の始まりはリエーフの両親が帰国し実家に泊まりに行った夏の日のこと。
たまには女の子2人でお泊りを、と莉奈ちゃんを家に呼んだ日の夜。食事をしながらお互いの誕生日の話になった。
「今年はとりあえず食事だけにしようかなっててつろーさんと話してます。」
「そうだよね。毎回何かをする必要はないよねぇ。」
はあと息を吐きながら目の前のジャガイモの冷製スープをスプーンでくるくるとかき混ぜていれば莉奈ちゃんが私に問いかけた。
「じゃあサプライズで何かします?手伝いますよ?」
にかっと笑う莉奈ちゃん。
サプライズかぁと悩めば莉奈ちゃんは早速誰かに電話をし始める。
「あ!てつろーさん?今大丈夫ですか?」
「ちょっ、莉奈ちゃん!」
慌てて止めるけれど莉奈ちゃんは今話した経緯を相手に話していく。
電話をしながら莉奈ちゃんはにまにまと笑っている。
こういうところ、本当クロに似てきたなぁ。
「了解です!美優さん、はい!」
電話をスピーカーにした莉奈ちゃんはしましたーと相手に確認を取る。
スピーカーにした電話の向こうはやけにざわついていて、相手の声がなかなか聞こえない。
「んあっ!美優いんのか?」
クロの声が帰ってくると思いきや、返ってきたのは馴染みのある別の声。
「やっくん?」
「俺もいる。」
「海くん!久しぶり!」
話を聞けば久し振りに3人で集まって飲んでいたとのこと。
同じ学年だったじゃん。
誘ってよ…
「電話じゃ面倒だから今からそっちに行くわ。莉奈そっち飯は?」
莉奈ちゃんが食事を食べていることを伝えればそのまま電話が切れた。