第25章 そうだ、旅行に行こう。〜2019.8/18〜8/19〜
「美優さん、実はここに来るって決まった時からやりたかったことがあるんです。」
背負っていた鞄に手を入れ何かを探すそぶり。
"何か"を見つけたリエーフは、それを取り出すと帽子とサングラスを外した。
「答えはわかってます。でも、ちゃんとしたかったから。」
リエーフがしゃがみ、上だった視線が下を向く。
ひざまづいたリエーフ。
その手の中にあるのは去年のクリスマスに貰った指輪。
今回は無くしたら嫌だからと持ってこなかった指輪がケースに入ったまま私に向けられている。
「改めて言わせてください。
俺と、結婚してくれませんか。」
向けられる柔らかな笑顔と声。
ひとつしかない答えが口が震えてなかなか言えない。
『ずるい、よ、リエーフ。』
『本当の、おうじさま、みたいで。』
『ずるい。』
「美優さん、返事、ください。」
『私を
およめさんに
してください。』
リエーフに伝えれば、広がる周りからの歓声。
忘れてた。
ここ、外。
温かい拍手と、おめでとうの声。
嬉しくなったらしいリエーフがひょいと私を持ち上げる。
『っ!リエーフ恥ずかしいって!』
「いいんです!見せびらかしたい!」
いつのまにかおめでとうコールはやんちゃな男の子たちからのキスを求めるコールに。
居たたまれなくなった私が顔を背けようとしたけれど、一瞬の隙を見つけたリエーフがちうっと触れるキスを唇へと乗せさらに大歓声。
堪らなくなった私はリエーフの胸に顔を埋めたのであった。