第25章 そうだ、旅行に行こう。〜2019.8/18〜8/19〜
「ひとくち、飲んでみます?」
差し出されたグラス。
水で割られた芋の焼酎。
グラスを受け取り一口飲めば名前とは似つかないフルーティな香りが口いっぱいに広がる。
『これ、美味しい。』
「じゃあ頼んでみます?酔っても明日の朝はゆっくりでもいいし。」
こくりと頷けばリエーフは同じお酒を注文してくれる。
食事を進めながら待っていればすぐに届く芋焼酎『魔王』。
先ほども飲んだけれど、すごく飲みやすい。
芋臭さはあるけれど飲めないわけではない。
臭みが減るとオススメされた冷酒で飲んでいるけれど、あまり酔った感覚もない。
リエーフに止められて1杯だけにしたけれど、それがなかったらもう1杯飲みたかった。
しっかり食事も食べ、お会計。
今日はリエーフがお支払いをしてくれるから、とリエーフの後を追う。
少し足取りが重いのに気づいたらしいリエーフが先にエレベーターホールに向かっていてくださいと私に言う。
そう言われた私はお店を先に出てゆっくり歩いた。
…けれど、歩くたびに硬い地面から柔らかな砂地に変わっていく。
柔らかな砂地に足を取られ思わず前のめりになった瞬間、ぐいと後ろに体が引き寄せられる。
「美優さん…?」
『りえーふ?』
後ろを振り向けば心配そうなリエーフの顔。
ふわふわで
ふわふわで
なぜかひどく心地よい。
この気持ち良さに酔っていたくて
私は、瞳を閉じた。