第25章 そうだ、旅行に行こう。〜2019.8/18〜8/19〜
詰めた荷物を玄関に置き家の点検をしていれば、自分の荷物を持ったリエーフが部屋から出てくる。
『リエーフ準備大丈夫?』
「大丈夫っす。じゃあ行きますか。」
これから始まる旅行に、気持ちが高まっていくのがわかる。
それを感じ取ったらしいリエーフが、私の名前を呼ぶ。
それに反応するようにリエーフを見れば、狙ったかのように降ってくる唇へのキス。
「美優さん可愛い。楽しみなの伝わってくる。」
そう言いながらリエーフはスポーツサンダルを履き自分の荷物を持ち玄関ドアを開く。
『リエーフだって、口元緩んでるよ?』
私もスポーツサンダルを履き鞄を持ち部屋を出るとリエーフが部屋の鍵をかけた。
「そりゃあそうですよ。いつもみんなと旅行で、2人きりで遠出ってなかなかないじゃないですか。」
言われてみれば…
共用廊下を2人荷物を持って歩きながらリエーフと話す。
「大人数の旅行も楽しいですけど、やっぱり美優さんと2人も楽しいだろうし…」
エレベーター前で止まり、ボタンを押す。
少しの沈黙の後、リエーフがぽそりと言葉の続きを口に出した。
「2人って、嬉しいです。」
ゔぁん、と開くエレベーターの扉。
先に乗ったリエーフを追いかけるようにしてエレベーターに乗り込み階下を示すボタンを押せば、扉は閉まり階下へと下りていく。
私と目を合わせないように、染めた頬を見せないようにと深く帽子をかぶるリエーフ。
そんなリエーフが可愛くて帽子の隙間を覗き込むと、リエーフは目を細める。
『いっぱい、楽しもうね?』
そう伝えれば、リエーフは小さくため息をつき私の頭を撫でた。
「そんな可愛く言われたら今日の夜手加減できなくなっちゃいます。っていうか今すぐ抱きたい。」
『今っ⁈』
「うん今。車で抱き潰したい。」
流石にそれは不味すぎる。
いろんな意味で。
ゔん、とエレベーターが小さく揺れ扉が開く。
私が先に出るとリエーフもエレベーターを降り、私に手を伸ばす。
射るような視線にこくりと喉を鳴らせば、体の横に下がる手をリエーフが取る。
「ホテル着いたら、ね?」
私の手の甲に触れる唇。
先ほどのリエーフよりも真っ赤になったであろう頬を、リエーフは指の腹で撫でるとくすりと笑い、そのまま駐車場に繋がる通路を先に進む。
私は小さく息を吐くと、先に行くリエーフの背中を急いで追いかけた。