第5章 俺だけみてて。 R18
そして食事会…もとい飲み会。
今までは必死に断ってきたけれど今回は無理だった。
今回は来週から始まる夏休み前ということで身内の不幸など以外の不参加は禁止。
…あー、面倒。
ざわざわとうるさい飲み屋の席の端の端。
みんなに気づかれないように小さくなってウーロン茶を飲む。
抜け出したい…
リエーフに会いたい。
そう考えていると目の前に影。
「美優ー!飲んでるー?」
顔を上げれば実習班の一緒の子達。
『あ、うん。』
「今日は弟君大丈夫?」
『今日はご飯作って冷蔵庫入れてきた。』
話をしていれば周りにどんどん人が集まってくる。
いつのまにかあまり話をしたことのない人まで集まってくる。
「俺さー、前からしいなさんと話ししたかったんだー。でもしいなさんいつもすぐ帰っちゃうじゃん?」
そう話をする男子(名前…なんだっけ?)は私の隣に座ってくる。
『あはは…両親が忙しいから弟の世話任されてるの。』
愛想笑いでかわそうとするがそんなことは気にもしないようでぐいぐい近づいてくる。
「椎名さんむっちゃタイプなんだよねー。カレシいるの?いなかったら俺りっこーほしちゃおっかなー!」
『私、恋愛とか興味な…』
「じゃあ俺と恋愛してみようよ?」
しつこいっ!
周りはニヤニヤしながら見ているし…
するとポケットからヴヴヴッとスマホの振動がした。
画面を見れば、「Левочка」レーヴォチカ…
リエーフからだ。
『ごめんなさい、弟から…』
出ようとスマホの操作を始めると隣の男子が私の肩を抱く。
「いーじゃん!弟なんかほっとけよー。」
『ちょっとやめてっ…』
「はーい!携帯ボッシュー!」
携帯を取り上げられ勝手に通話ボタンを押す男子。
「はーい!弟君?しーなさんは預かったー!」
『ちょっと止めてっ!』
「たまにはねーちゃん遊ばせてやれよー。ってことで、今日はしーなさん家に返さねーからなー!」
『止めてってば!』
携帯を取り返そうと手を伸ばすが低身長の私には届かない。
「じゃーね?弟君?」
そう、男子はスマホに告げ、電話を切る。
そしておもむろに自分のシャツの中に私のスマホを入れた。
『何するの?』
「飲み会なんだから飲まなきゃつまんないでしょー!お酒飲んだら返してあげる。」
そう格好つけたような顔をして男子は笑った。